Q | 主人公の白州は、どのようなイメージでデザインされたのでしょうか?
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竹内 | 白州をデザインするときに一番難しいなと思ったのは、今回は作中でスチール写真でも構成していくということで、止め絵でもアニメっぽくならないようにしないといけなかったことですね。止め絵でも写真のように見えるということは、やっぱりキャラクターをリアルに描かなくてはいけない。そこに気を遣いながらデザインしていきました。最初にどうしたかというと、タレントとか俳優のイメージを決めて、その人の写真を見ながら一回徹底的にリアルに描いてみたんです。それから、線を省略したり整理したりして作っていく、というようなやり方でキャラクターを作ったんです。そうして出来たのが今の白州なんですけど。まぁ、寺田監督の注文も細かくてですね(笑)。「いかに自然な女の子にするか」ということに気をつけたつもりです。
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Q | 赤城については、いかがですか?
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竹内 | 赤城は、寺田さんの中にある特定の俳優さんのイメージがあって、その人に近づけようとして描いたキャラクターなんです。僕が最初に思っていたイメージとわりと近かったので、そんなに最初に描いた絵と変わらず、すんなりと出来たほうかなと思っています。
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Q | 現地の住民や国連軍の兵士など、メインキャラクター以外の人物のデザインにあたって、心がけたことはありますか?
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竹内 | 国連軍というのはある意味、人種の寄せ集めなので、今回はそれぞれの人種をちゃんと考えてデザインする、というのは心がけたことのひとつですね。やはり写真になるように一回リアルに描いてから、それをキャラクターにまとめるという方法で進めて、ロシア人ならロシア人を見て描いてみたり、黒人なら黒人の写真を見て一回リアルに描いて、それをキャラクターに落とすというようなデザインの仕方をしました。現地の住人なども写真からですね。史料を見て、特有の骨格をなるべくキャラクターにしていくという工夫をしました。
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Q | 過去に携わった作品と比較して、この作品の自身の中での位置づけは、どのようなものでしょうか?
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竹内 | やっぱり新しい挑戦だということで、とてもやりがいがあるし、今まで既成のアニメーションに対して持っていた不満みたいなものをね、ここでひとつ答えをぶつけてやろうという気持ちもあって。例えば、よく“身体はリアルだけど顔がマンガ”みたいなアニメーションってあるじゃないですか。そうはならないように、顔も身体と同じように考えていこうという努力をしました。『FLAG』は、以前ディズニーアニメの制作でやってきた方法論とそんなに違わないものだと思っているんですよ。ディズニーというところは、作品を作るときにコンセプトの段階から細かいデザインを考えるんですよ。例えば『アラジン』という作品だったら、中近東の唐草模様から考えたりとか、『ヘラクレス』という作品だったらギリシャの壷から考えていくとか……。そういう風に『FLAG』も一から作品に合ったデザインをしていこう、という風に考えて作っていきました。
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Q | 高橋総監督とお仕事をご一緒されて、どのような印象をお持ちですか?
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竹内 | 僕は昔から『ボトムズ』とかが好きだったので名前は存じ上げていましたけれど、それらの作品をを見る限りは難しい感じの方かなと思っていたんですが、すごく気さくな方で、飄々としていて(笑)。そんなに考えを押し付けるわけではなく、個人の裁量に任せるタイプなんですね。それでいてちょっとしたアドバイスで自分の世界に引き込む、そういう人徳のある人ですね。
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Q | 寺田監督については、いかがですか?
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竹内 | 寺田さんはこだわりの人です。特に白州についてのイメージをしっかりと持っていらして、ご本人も絵も描ける人なので、やっぱりイメージがハッキリ決まっているんだと思います。すごく意志が固い人だなという印象ですね。
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Q | 視聴者のみなさんに見てもらいたいポイントはどこでしょうか?
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竹内 | 『FLAG』は多分、コアなファンが観るタイプの作品かもしれませんが、僕自身が既成のアニメを見たときに、例えばキャラクターを見ただけで拒絶反応を起こすような作品ってあるわけですよ。そういう風にならないようには心がけているつもりです。ですから、なるべくアニメというだけで抵抗がある人とか、そういう人にも受け入れてもらいたいなという想いはありますね。それから、最近、アニメにCGがよく使われていますが、CGと2Dがマッチングがうまくいっていない作品がたくさんあると思うんです。今回の『FLAG』では、そういった部分もうまく融合が出来ていると思っていますので、その辺を観ていただきたいですね。
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